2022年06月06日

結婚できない男女の問題点

先日、厚生労働省が2021年度の人口動態統計(速報値)を発表し、去年生まれた子どもの数が前年度と比べて1.3%減の84万人となり、14年連続の減少で、過去最少を更新したことがわかりました。自民党の調査会はコロナ禍で加速した少子化に歯止めをかけるべく、3年間結婚・出産への緊急支援に取り組むことを求める提言を岸田総理へ申し入れたと報道されています。

少子化の原因は様々で、直近ではコロナ禍の不安感なども影響しているとは思いますが、一時的な支援で根本的な解決ができるのかという点は様々な議論がなされています。今回は、婚活の視点で考えてみたいと思います。

まず、出生数や出生率のデータも参考にしてみましょう。厚生労働省が2021年6月に発表した2020年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.34とされています。1974年の2.05人を最後に、下がり続けています。しかし、夫婦の最終的な平均出生子ども数を表す完結出生児数を見ると、第12回調査(2002年)の2.23人まで30年間にわたって安定的に推移しており、第14回調査(2010年)では1.96人と、はじめて2人を下回ったものの2人に近い数字となっています。

つまり、結婚をしたご夫婦は1970年代から変わらず、平均2人の子どもを持っていますから、出生数の減少は、未婚者の増加が深く関係しています。つまり、結婚する人が減っているから出生数が減っているとも言えます。

では、なぜ結婚する人が減ったのでしょうか。一生結婚しないと決めている独身主義の方が大多数であれば個人の選択なので尊重されるべきですが、実際はそうではなく、コロナ以降に婚活を始めた人も増加しています。結婚はひとりではできませんから、男女ともに意識や現実に問題点があるのです。

■婚活女性の課題は、“親世代の価値観からの脱却”

まずは女性側の抱える問題を考えていきましょう。

一般社団法人 日本経済団体連合会の「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか−人口問題委員会」(2022年5月19日 No.3544)という記事では、次のような記述があります。

※参照:http://www.keidanren.or.jp/journal/times/2022/0519_07.html

「収入が相対的に少ない男性が結婚相手として選ばれないという事実がある」「保育所を増やしても、収入が不安定な男性の結婚は増えない」「収入が不安定な男性をどのように結婚までもっていくか、そのような男性と結婚しても大丈夫という女性をどう増やすか」――これについては、男性目線の意見ではないかという批判もあり、議論を呼んでいます。

また、欧米の少子化対策は、一人暮らしが多く、結婚・同棲に経済的メリットがある/女性は差別されず、仕事で自己実現を求める/恋愛が盛んである/子育ては成人まで/を前提にしているけれど、日本はそうではないので欧米式の対策では難しい、とも書かれています。

婚活現場では、女性の収入にかかわらず、「男の方が年収が高いほうがいい」と漠然と考える女性が多い状況があります。特に都心部では女性の社会進出はかなり進んでいて、私の相談所でも年収1000万円を超える婚活女性を多々担当していますが、やはり同様です。

先日も、38歳で1000万円の年収がある婚活女性が「年収を書くとお金目当ての男性が近寄ってくるから嫌です。自分以上の年収の方がいいです」とおっしゃいました。このように、「年収が高くても、男性からお金の面で頼られたくない」という意識がある女性は少なくありません。

しかし、頼って頼られるのが夫婦です。また、なんの特徴もない38歳と、仕事を頑張ってキャリアを積み重ねた38歳では見え方が違いますし、お相手からみたときのひとつの長所になるのだということをお伝えし、ご納得いただくケースが多いです。

そもそも、なぜ婚活世代の価値観がアップデートされないか? というと、精神的に親離れ・子離れできてない独身者が多いことも原因となっています。前述の記事でも「日本では親と同居の独身者が多い」「将来にわたり親に子育ての責任がかかる」と表現されています。親世代と精神的な距離が近いことで価値観を受け継いで婚活をしてしまう。教育熱心な両親に育てられた真面目な女性に多い印象です。

婚活現場では、まずは生活面と経済的に自立することから婚活が始まると考えていますから、「マンスリーマンションでもいいから実家を出てみましょう」とお伝えしています。

一方、男性側が抱える問題はどうでしょうか?

■婚活男性の課題は、“自立とコミュニケーション”

「男性が外で働き、女性は家庭を守る」という古い考えは男女それぞれの中にあるものです。すでに現在の日本はアメリカよりも働く女性の割合が多くなっていますが、日本人男性が家事に従事する時間はアメリカ人男性の1/3というデータもあります。女性の社会的な活躍が進めばなおさら、夫となる相手の選び方については、収入以外の、例えば、家事力や生活力を視野に入れる必要があります。

婚活現場の男性は、自立が出来ているかという点で女性から厳しくみられる時代です。具体的に言うと、自炊の可否、生活費の把握、肥満を含めた健康管理ができているか、服装の清潔度などです。男性が年収700万円で実家暮らしの方、年収500万円で自炊して一人暮らしの方であれば、後者の方が選ばれます。ただ、自立は最低限の話なので、プラス評価にはつながりません。

実は、男性の年収が低くてもカバーできる魅力となるものはコミュニケーション能力です。

先日、年収1000万円の32歳・女性と、年収400万円の29歳・男性が真剣交際に入られました。マッチングの決め手は男性のコミュニケーション能力でした。実際、「とにかく、会話。夜景を見ても、お互い会話していました」とおっしゃっていました。

この女性も当初は自分より年収が高い男性を望み、数名とお見合いもされましたが、自分が技術職のマネージャーで今後も収入アップが見込めるということで、「家事をしてくれる男性がいい、お相手の収入は気にしません」という条件に変更されました。

お二人は初回から会話が進んでお互いの現職やバックグラウンドについて話しあい、2回目からは踏み込んだお金の話、3回目には家事分担や育休、将来の不妊治療のことまでしっかりすり合わせることができていました。

実は、男性は年収こそ高くないものの投資や資産運用をしていて、会社選びや働き方に関する考え方がしっかりしていました。また、コミュニケーションも受け身ではなく、自分から積極的に会話ができる人柄だったことから、年下でも“頼りない”と思われずに進めたポイントだったようです。逆に言えば、年収が低くてもコミュニケーションの面で魅力があり、働く女性のサポートができる男性はマッチングの幅が広がると言えます。

経済の停滞から、会社員の給料が上がりにくい状況はもう30年も続いています。しかし、一時的な経済支援が少子化対策になるのかという点については、様々な議論があり、もはや待ったなしの状況です。

まずは「結婚したい」と思っているご本人が自分自身の良いところを伸ばし、足りないところを補い、意識や行動を変えてみることで結婚観をアップデートし、マッチングの幅を広げることが、スモールステップながら、最速の道なのではないでしょうか。


posted by かーくん at 07:08| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月05日

公営ギャンブル

新型コロナウイルス禍で娯楽関連業界の多くがダメージを受ける中、競輪や競馬といった「公営ギャンブル」が活況だ。競輪場や競馬場に赴かなくても車券や馬券が買える「インターネット投票」の普及が理由。京都府が管理する京都向日町競輪場(向日市)では売り上げが急増し、かつて「廃止もやむなし」としていた府も存続を含めて再検討することに。コロナ禍の3密回避などでパチンコが下火となる一方、感染症対策の担保を前提にギャンブラーたちの熱は冷めることはないよう

■赤字から復活

京都向日町競輪場は昭和25年に府が開設。平成2年度をピークに売り上げ、入場者数とも減少に転じ、10年度の収支は赤字となった。23年には有識者で構成する府の検討委員会が廃止もやむを得ないと提言。山田啓二知事(当時)は「赤字を税金で穴埋めする状況も予想され、事業存続は非常に難しい」としていた。

ところが、23年度に約7千万円の黒字を計上して以降、業績が改善。単年度収支の黒字額は29年度には2億4千万円にのぼった。コロナ禍が深刻となってからも、単年度収支の黒字額は令和2年度の3億1千万円から、3年度見込みは9億5千万円へと急成長。府の予算への繰り出しが十分可能な「優良児」に。今春、府の包括外部監査人が存続を含めた再検討を求める監査結果を公表した。

京都向日町競輪場を強力に推進したのはネットで車券を購入し、テレビかネット中継で観戦するネット投票の普及だ。同競輪場は電話投票に次いで民間サイトでのネット投票を平成23年度に導入。令和2年度の車券売上高124億円のうち、競輪場での売り上げは2・1%に当たる2億6千万円に過ぎない。平成22年度で10万人台だった入場者数も、令和3年度推計は2万4千〜2万5千人にとどまり、もはや競輪場に足を運ぶ時代ではなくなったことを示している。

■パチンコからくら替え

こうした中で指摘されるのが、パチンコの衰退とパチンコファンの公営ギャンブルへのくら替えだ。府の監査人は、店内にいなければできないパチンコはコロナ禍では敬遠されるとし、「ギャンブルに魅力を感じる客層の一定数が、競輪へ移行した可能性は否定できない」と指摘する。

パチンコ人口の減少をめぐっては、規制強化などさまざまな要因が指摘されているものの、パチンコの衰退と公営ギャンブルの成長は、経済産業省が公表しているサービス業や娯楽などの「第3次産業活動指数」でも明らかだ。特に令和元年度と、コロナ禍に見舞われた2年度の比較では、公営ギャンブルの指数が118・6から136に上昇したのに対し、パチンコは79・1から55・1へと急降下した。

■積極PR、依存症対策も

さらに公営ギャンブルではネット投票だけでなく、PRに向けた取り組みが功を奏している。競輪では近年、夜から深夜にかけて無観客で競技を行う「ミッドナイト競輪」が盛んで、京都向日町競輪場でも3年度にスタート。動画配信サイトのユーチューブ、衛星放送の専用チャンネルで競技を放送し、仕事などから帰った後に楽しむことができる。

こうした工夫に加え、元Jリーガーや元バレーボールインターハイ選手といった多彩な経歴の選手たちを積極的にアピール。

競艇では成長する選手のドラマ仕立てのCM「アイアムアボートレーサー」を配信し、若者へのアプローチを図るほか、競輪、競馬、競艇とも女性選手が活躍しており、話題を呼んでいる。

経産省担当者は「PRがスマートで、ギャンブルの悪いイメージを持つ人が少なくなっているのではないか」と分析している。

一方、気になるのがギャンブル依存症対策。京都向日町競輪場では平成30年度から、本人や家族の申告で電話やネットでの投票の利用を停止する措置を講じ、場内に依存症相談窓口を設置して必要があれば専門医や公的な相談機関を紹介している。府は同競輪場の予想外の成長を喜びつつ、「のめりこまず、適度に楽しみましょう」と利用客に呼びかけている。
posted by かーくん at 06:48| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月04日

シャトレーゼ 値上げしないことへの挑戦

連日お伝えしている値上げのニュースですが、6月は食品だけで1500以上の商品が値上げされます。価格上昇の風はこれまでにないレベルで、まさに「値上げの嵐」となっています。長くデフレが続いた日本では値上げをすると消費が冷え込むことが多かったのですが、ここにきてこの値上げの嵐に打ち勝つような光も見え始めています。

吹き荒れる値上げの嵐の中、まず訪れたのはその嵐に立ち向かう、菓子の製造販売を手掛ける企業「シャトレーゼ」です。シャトレーゼの店舗にやって来ると、看板には「値上げしないことへの挑戦」と書いてありました。

シャトレーゼの主力商品はケーキやパンなど。小麦粉や砂糖などの原材料の価格は高騰していますが、来年3月まで値上げをしない方針を打ち出していました。ライバル各社が値上げする中、なぜ価格維持なのでしょうか。

「お客様の立場を考えると給与が上がらない。『皆さんの立場に立って考えないと』というのがわれわれの考え方。自分たちが何の努力もしないでお客様に負担させるのは、私は非常にけしからんと思う」(シャトレーゼの齊藤寛会長)

そこでシャトレーゼが取ったのは徹底的なコスト削減です。例えばプリンなどを工場に運ぶための小さなコンテナ。以前は1つ8円する使い捨てのプラスチック製の仕切りで商品を支えていましたが、コンテナそのものの形を改善し仕切りは不要に。これで年間およそ1000万円のコストを削減できるといいます。

またアイスは包装紙の質感や印刷に使うインク量を減らし、年間50万円を削減の見込み。さらに会長室もクーラーをほとんど止めて節約・節電に努めます。一つひとつは少額でも、合わせて年間2億円を超える削減が見込めるといいます。

価格据え置きは続けられるのでしょうか?

「できるところまでやろうと思う。できるだけそういうもの(食品など)を抑えて、豊かな気分で高額なものがどんどん買えるような余裕を与えたい」(齊藤会長)

一方、不安定な世界情勢、原材料・物流費の高騰、円安などが重なり、多くの企業にとって商品の値上げは避けられない状況です。帝国データバンクが主要な食品会社を対象に行った調査では、6月に値上げされる食品は今年に入り最も多いおよそ1500品目。来月以降もこの傾向は続き、年内には合計1万品目を超える見通しです。

今週、「お〜いお茶」など、主力商品を秋に20円程度引き上げることを発表した伊藤園。本庄大介社長は会見で「私もいち消費者として考えればつらいなというのは当然ある。間違いなく売り上げは少し落ちるが、販促などで下支えしていく」と難しい決断だったことをにじませました。

今後も続く値上げの嵐。しかし消費者には変化の兆しも出ています。

6月1日からさまざまなものが値上げしますが、百貨店の食品売り場では値上げしても売れているものがあります。その商品が「牛テールカレー ゴロット」。輸入コストの上昇などにより2月上旬に1620円から2160円となんと500円の値上げに踏み切りましたが、販売が落ち込むどころか、値上げ前に比べ2.6倍も販売数が伸びました。

コロナ禍で落ち込んだ消費の反動もあるとはいいますが、消費者心理自体に変化が起きているといいます。

「価格が変わったから買い控えするわけでなく、いいものはお金をかけてでも買いたい。そんな客の購買心理を感じている」(「東武百貨店」池袋本店食品部の西野昭さん)

ほかの値上げした商品も今のところ大きな影響はないといいます。

「日々、利用する魚、野菜、肉などは、価格が少しずつ上がっているが、売り上げは特段落ち込んでいない」(西野さん)

訪れた客も「値上げは仕方がないという言い方は語弊があるが、やむを得ない」「世界の状況を考えるとある程度こらえどころじゃないかと思っている」と話します。

あるアンケート調査で、店の商品が10%値上がりした場合の消費者の行動を調べました。実は日本人は去年まで欧米に比べて「別の店に行く」と回答する人の割合が20ポイント近く高くなっていました。しかし、今年4月の調査では日本でも「同じ店で同じ商品を買い続ける」と答えた人が多数派に変わりました。

日本人は値上げを受け入れるように変化してきたのでしょうか。アンケートをまとめた東京大学の渡辺努教授は「逃げ場がなくなり追い詰められ値上げを受け入れる人が増えている」と説明します。

欧米各国で物価が大きく上昇しているため、日本の物価上昇もやむを得ないと考えている人が増えてきているといいます。値上げが受け入れられると、企業は賃上げができる余力が生まれる可能性があります。

「従業員は自分の生活を支えるために賃金を上げてほしいと声を上げれば、賃金も上がるし、価格も上がる。普通の経済を取り戻すことができる。少し明るく物事を考えてもらえれば」(渡辺教授)

経済界からも期待の声が上がります。

経団連の十倉雅和会長は1日の会見で「2%程度の持続的なインフレが起きて、それをベースアップ(基本給の増額)でカバーして。これを回転させないといけない。実際に起こさないといけない」と話しています。

※ワールドビジネスサテライト
posted by かーくん at 07:14| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする