2021年04月03日

亡くなった人の銀行預金をおろす方法

コロナ禍では、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。
相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。著者は、日本一の相続専門YouTuber税理士の橘慶太氏。チャンネル登録者数は4.8万人を超え、「相続」カテゴリーでは、日本一を誇ります。また、税理士法人の代表でもあり、相続の相談実績は5000人を超えます。初の単著『ぶっちゃけ相続 日本一の相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を出版し、現在2.8万部。遺言書、相続税、不動産、税務調査、各種手続きという観点から、相続のリアルをあますところなく伝えています。

● 凍結された銀行口座からお金を引き出す

 相続が発生すると、その方の預金口座は凍結されます。預金の払戻しを受けるためには、相続人全員の同意と印鑑が必要でした。

 そのため、「相続人同士の仲が悪い」「遠方にお住まいのため共同で手続きができない」ときなどは、故人の預金を引き出すことができず、当面の生活費や葬儀に充てるための費用を工面できませんでした。

 そこで2019年7月より、預金の払戻し制度が始まりました。これにより、相続発生後に凍結されてしまう銀行口座について、相続人の同意がなくても一定の金額を払戻すことができるようになりました。

 一定の金額とは、各銀行の相続開始時の預金額に3分の1と、その相続人の法定相続分を乗じて計算した金額とされており、その金額が150万円を超える場合は150万円が上限となります。

 例えば、相続人が子ども2人であれば、各相続人の法定相続分は2分の1。仮に預金額が600万円であれば、600万円×3分の1×2分の1=100万円となるので、100万円を払戻すことが可能です。

 もし、預金額が1200万円であれば、1200万円×3分の1×2分の1=200万円となり、150万円を超えているので、払戻せる金額は150万円になります。

 また、遺産分割協議が難航し、調停や審判を行う場合で、家庭裁判所が必要性を認めた場合には、この金額を超える部分の引き出しも認めてもらえるようになりました(仮分割の仮処分の要件緩和)。

● 知っておくべき注意点

 当初、使いやすそうな制度に思えたのですが、実際の手続きには、法定相続分を明らかにするために、亡くなった方の出生から死亡時までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本が必要です。申請してから振込までに2週間以上かかる銀行もあるので、葬儀費用に充てるには間に合わないですね。

 ただ、葬儀費用のためではなく、当面の生活費の確保のためということであれば、とても有効な制度と言えます。

 なお、この払戻したお金を葬儀費用に充てる場合はいいのですが、もしも、相続人の自分の生活費に使った場合には、相続放棄ができなくなってしまいます。そういった面でも、この制度の利用は慎重に考えなければいけないですね。

 ちなみに、ちょっと悲しい話ですが、葬儀費用を誰が負担すべきかを争った裁判は過去にいくつかあります。裁判の結果、@相続前から葬儀社との間で負担者が決まっていた場合にはその人、A相続人の話し合いで負担者が決まればその人、B話し合いで決着がつかない場合には、喪主負担とすることが通例となっています。

 このあたりの知識も持っておいて損することはないですね。

橘慶太(たちばな・けいた) 税理士・円満相続税理士法人代表
大学在学中に税理士試験に4科目合格(「資格の大原」主催の法人税法の公開模試では全国1位)。大学卒業前から国内最大手の税理士法人山田&パートナーズに正社員として入社する。これまで手がけた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算500件以上。相続税の相談実績は5000人を超える。また、全国の銀行や証券会社を中心に通算500回以上の相続税セミナーの講師を務める。2017年1月に独立開業。現在、東京・大阪の2拠点で円満相続税理士法人の代表を務める。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」をモットーに、依頼者に徹底的に寄り添い、円満相続実現のために日々尽力する。自身が運営する【円満相続ちゃんねる】は、わかりやすさを追求しつつも、伝えるべき相続の勘所をあますところなく伝えていると評判になり、チャンネル登録者は4万8000人を超え、「相続」ジャンルでは日本一を誇る。
posted by かーくん at 08:57| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする