改正案では、NHKが積み立てた剰余金のうち、一定水準を超えた部分を受信料値下げの原資とすることや、剰余金が一定水準を超えながら、受信料を値下げしない場合、理由を視聴者に説明することを義務付ける項目が盛り込まれる。
今秋には省令を改正、NHKの経営安定上必要な財務の水準や、値下げを実施する基準となる剰余金の積立額などを定める。政府関係者は「税金などは余ったら還付が当たり前だが、受信料にはこうした仕組みがなかった。それはおかしいということ」と話す。
NHKの前田晃伸会長は13日、経営効率化などで生まれた剰余金など約700億円を原資とした5年度の受信料値下げ方針を発表した。衛星放送を含む契約者のみを対象とした場合、月額300円程度に当たる。一方で財政安定上、約800億円の剰余金を留保したいとの考えも示した。
ただ、総務省の有識者会議は「平成2年から15年間は200〜600億円の剰余金で財政上の問題が生じていない」と指摘する。総務省幹部も「民放などがコロナ禍で減収に苦しむ中、受信料が確実に入るNHKに800億円もの留保は必要か」とする。
省令改正では200億円程度の留保しか認められないとの観測もあり、NHKは令和6年度以降、積み立てた剰余金を原資に5年度以上の値下げに踏み切らざるを得ない可能性がある。
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