2020年03月25日

東京五輪1年延期 サッカー五輪代表 年齢制限

今夏に予定されていた東京五輪・パラリンピックが1年程度延期されることが、東京五輪の開幕までちょうど4カ月となった24日に、国際オリンピック委員会(IOC)から発表されました

 世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスの影響を受けて、IOCのトーマス・バッハ会長は同日夜に安倍晋三首相と緊急の電話会談を実施。大会組織委員会の森喜朗会長、東京都の小池百合子知事らも同席した場で、日本側からの提案が受け入れられる形で基本合意に達した。

 バッハ会長は続いてウェブ形式によるIOCの臨時理事会を開催。4週間以内に結論を出すとして、東京五輪・パラリンピックの延期を含めた具体的な検討を開始すると発表してから2日後に、そして安倍首相との会談を終えてから2時間とたたないうちに延期が正式に承認された。

 夜のニュース番組は、必然的に東京五輪・パラリンピックの延期一色に染まった。次なる焦点は大会日程や、各競技の予選や代表選考方法に移ってくる。サッカーにおいては2大イベント、ヨーロッパ選手権と南米選手権がすでに来夏へ延期されているが、民放のニュース番組に出演したあるコメンテーターは、それらの大会と五輪が重なる可能性を聞かれ「(五輪の)サッカーには年齢制限があるから、(A代表が出場する大会と日程が重なっても、五輪の出場選手には)基本的には関係ありません」と断言していた。

 確かに五輪の男子サッカー競技においては、開催時で23歳以下という年齢制限が設けられている。しかし、1年程度延期され、なおかつルールが変わらなければ、必然的に年齢制限に抵触して出場できなくなる選手も出てくる。そう簡単に「関係ありません」と言うことはできない。
 東京五輪の出場資格は、1997年1月1日以降に生まれた選手となっている。チームを率いる森保一監督が「現時点におけるベストメンバー」と東京五輪へ向けて位置づけていた、昨年11月のU-22コロンビア代表戦に招集されたメンバーのなかには、1997年生まれの選手が8人名前を連ねている。

 キャプテンのMF中山雄太(PECズヴォレ)をはじめ、守備の要・板倉滉(FCフローニンゲン)、背番号「10」を背負うMF三好康児(ロイヤル・アントワープFC)、韋駄天ぶりが武器のFW前田大然(CSマリティモ)、大型FWの小川航基(ジュビロ磐田)らは森保監督のもとで2017年12月に立ち上げられ、東京五輪を目指してきたチームの中核を担ってきた。

 故障などでコロンビア戦に招集されなかったものの、昨年末に韓国で開催されたEAFF E-1サッカー選手権でフル代表デビューしたDF渡辺剛(FC東京)、MF森島司(サンフレッチェ広島)、MF相馬勇紀(名古屋グランパス)、MF遠藤渓太(横浜F・マリノス)も1997年生まれだ。
年齢制限が現状で変わらなければ、1997年生まれの選手たちは自国開催のヒノキ舞台に立つ資格を自動的に失う。疫病の蔓延に伴う延期という五輪史上で初めての事態を踏まえて、特例で24歳以下に変更されるのかどうか。延期決定を見すえて、サッカー界ではすでに具体的な動きが起こっている。

 1月にタイで開催された、東京五輪のアジア最終予選を兼ねたAFC・U-23選手権で3位に入り、出場権を獲得しているU-23オーストラリア代表のグラハム・アーノルド監督は、大会が延期された場合には年齢制限を24歳以下とすることを求めたと同国の複数のメディアが報じている。出場権の獲得に貢献した、1997年生まれの選手たちの思いに配慮した形だ。

 現役時代にサンフレッチェ広島でプレーし、指導者としてベガルタ仙台を率いた経験をもつアーノルド監督は、東京五輪・パラリンピックの調整委員長を務める、IOCのジョン・ダウリング・コーツ副会長(オーストラリア・オリンピック委員会会長)とも話し合いの場をもったという。
 ただ、年齢制限の設定はIOCと国際サッカー連盟(FIFA)の暗闘を抜きには語れない。プロ選手の全面参加を望むIOCに対して、ワールドカップの威厳を守りたいFIFAが対立。1988年のソウル五輪から23歳の年齢制限を設けようとしたFIFAの方針が、IOCの猛反対で立ち消えになった経緯がある。
 最終的にはIOCが折れて、1992年のバルセロナ五輪から年齢制限が導入された。しかし、開催国スペインが優勝したにもかかわらず、男子サッカーの観客動員数は伸び悩んだ。スター選手の不在を嘆いたIOCが再びFIFAと折衝し、1996年のアトランタ大会からオーバーエイジ制度が導入された。

 FIFAとしては五輪の男子サッカー競技を、U-17およびU-20両ワールドカップと並ぶ、年代別世界選手権大会の一環として再編して現在に至っている。日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長は、新型コロナウイルス感染が判明した直後の今月19日にJFAを通じて発表したコメントのなかで、FIFA理事を務めている立場も踏まえて、東京五輪の延期などを含めた措置にこう言及している。

「オリンピックのサッカーは23歳以下の大会であることから、技術的に難しい面があることも認めなければなりません」

 実際に1年程度の延期が決まったいま、判断はFIFAに委ねられる形になる。アスリートファーストの観点に立てば、一生に一度あるかないかの機会を守るためにも、特例で24歳以下とする配慮が取られても反論は出ないだろう。しかし、もし現行通りの23歳以下をFIFAが遵守した場合は、開催国として臨む日本もチームの骨格をゼロベースから作り直す作業に着手せざるをえなくなる。

 東京五輪世代となる選手たちを幅広く招集し、能力を見極めてきた森保監督だが、そうしたなかでも中山や板倉は代役の効かない存在となっている。スピードやドリブルという一芸に秀でた面を評価すれば、前田や相馬も指揮官が描く構想のなかに入っていたかもしれない。

 年齢制限で選外となってしまう選手たちを、オーバーエイジで招集するべきだという意見が上がるかもしれない。その場合は最大3枠のオーバーエイジをめぐる論争が巻き起こる可能性もあるし、フル代表の選手たちをオーバーエイジで、と考えていた指揮官の構想にも影響を及ぼしてくる。

 その森保監督は延期決定を受けて、JFAを通じてこんなコメントを発表している。
「人々の命と健康があってこそのオリンピックだと思っています。延期になったとしても、大会までの一回一回の活動に最善を尽くすことに変わりはありません。各活動を充実させて、東京オリンピック開催時によりパワーを持って臨めるよう、これまで積み重ねたものをさらに積み上げていきます。
 世界中の人々に平穏で当たり前の日常生活が戻るよう、この状況が収束を迎えることを願っています。選手・スタッフをはじめ、開催準備のために多くの方がご尽力されてきたと思いますが、今後とも、粘り強く、大会成功に向けてともに頑張っていきましょう」(原文のまま)
 FIFAの意向が示されていない状況を考えれば、年齢制限を含めたチームの今後にも触れられない。ただ、対象となる1997年生まれの選手たちは、公式戦が長期の中断を強いられているなかで、東京五輪への不安も抱いているはずだ。JOCにとっては各論のひとつかもしれないが、JFAとしては選手たちの心情をくみ取る形で、FIFAに対して早急に意見を出す必要性が出てくるかもしれない。
posted by かーくん at 10:40| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする