4価ワクチンを男子にも適用申請
HPVには200種類ほど型があるとされ、性交経験がある人の8割が感染しているありふれたウイルスだ。
MSDが製造販売しているのは、HPVの中でも特にがんになりやすい「16型」「18型」、性器にできる良性のいぼである「尖圭コンジローマ」の原因となる「6型」「11型」の計4種類を防ぐ4価ワクチン「ガーダシル」。
このワクチンについて、MSDは今年2月12日男性にも適用を拡大するよう製造販売承認の一部変更を承認申請していた。
HPVは中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなど男性のかかるがんにも関わることがわかっており、異性間・同性間問わず性的接触でうつしあう。国立がん研究センターによると、中咽頭がんは日本で年間約1800人が診断され、男性が女性の5倍近くにのぼる。
北海道大学大学院生殖・発達医学分野の特任講師のシャロン・ハンリー氏のデータによると、世界では77か国が男子接種を承認し、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど24か国で公費接種も行われている。
世界では男子も含めて公費接種の国が増えてHPVワクチン不足となっており、男性と成人女性は若年女性を優先するようWHOが推奨するほどだ。ほとんどうたれずに余っている日本への医療ツーリズムも盛んに行われてきた。
そんな中で、日本の男性は接種後に何か問題があった場合も、公的補償の枠外で自己責任でうつことしかできなかった。
MSD広報「広く接種されることを望む」定期接種化も
MSD広報は、今回、適応拡大が求められている男性の対象年齢などは「承認されるまでは明かせない」として公表していない。承認後は速やかに販売を始めたいとしている。
女性のように無料でうてる定期接種になるかどうかについては、「今後の厚労省での議論になる」とするが、「子宮頸がんに限らず、HPV関連疾患の予防のために広く接種されることを望みます」として定期接種化を期待しているという。