2019年03月02日

ノブコブ吉村

ここ最近、バラエティ番組を見ている人の間で平成ノブシコブシの吉村崇の評価がにわかに高まってきている。そのきっかけとなったのは、昨年10月に放送された2つの番組である。同月6日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では「中継先に現れたヤバめ素人のさばき方で芸人の力量丸わかり説」という企画が行われた。偽の生放送ロケ番組で、芸人がレポーターとして出演しているところに、雰囲気のおかしい一般人がしつこく乱入してくる。芸人がそれにどう対処するかというのが見どころだった。ここで最も上手く対応できていたのが吉村だった。奇声をあげたりして生放送を妨害する一般人に対しても笑顔を絶やさず、番組の空気を壊さないように巧みに対処していた。この企画はネット上でも大反響を巻き起こし、「吉村のことを見直した」と評価する声が多かったそうです

 また、同月26日放送の『金曜★ロンドンハーツ2時間SP』(テレビ朝日系)では、親しい後輩芸人である渡辺直美が「結婚して芸人を引退しようと思っている」と吉村に嘘の相談を持ちかけるというドッキリ企画が行われた。吉村は渡辺に対して親身になってアドバイスを送り、切磋琢磨してきた過去を思い出して目に涙を浮かべる一幕もあった。これを見ていた渡辺も思わずもらい泣きをするほどだった。この企画でも「吉村のイメージが変わった」と感じた視聴者は多かったようだ。

 最近では1月26日に放送された『吉村崇、無人島を買う!』(日本テレビ系)という特番があった。無人島を買い取って、売れない後輩芸人たちが芸を披露するエンターテイメントの島にしたいという壮大な夢を持つ吉村が、実際に売りに出されている無人島に出向き、それを買うかどうかを決める、というもの。最終的には一番気に入った無人島で「2億円」という価格を提示され、即金で購入できる資金力がなかったため、3年間の支払猶予をもらうことになった。この番組では、破天荒キャラで知られる彼の豪快な一面にスポットが当たっていた。

吉村はテレビに出始めた頃から「破天荒」を自称していたが、当時それを額面通りに受け止めていた人はほとんどいなかったように思う。かつての吉村は、威勢だけはいいのだがセンスも経験値も人並み以下で、うだつの上がらない若手芸人の1人に過ぎなかった。

 だが、吉村の中にある「売れたい」「目立ちたい」「スターになりたい」という純粋な気持ちだけは本物だった。「自分を鼓舞するためにあえて高い家賃の家に住め」という先輩の教えを守り、大借金を背負って高級マンションに住み、高級車を乗り回していた。まずは形から入り、あとから中身を埋めていけばいい、と考えていたのだ。「破天荒」の教科書をじっくり読み込み、そこに書かれていることを一つ一つ実践していく。それはある意味で誰よりも真面目な生き方だった。

 先に外枠だけを作っている状態で前に進むと、「中身が空っぽじゃないか」とバカにされがちだ。だが、あえてそれを貫くことで、何より大事な「経験値」が積める。吉村はしぶとくテレビの世界に食らいついていき、少しずつ実力を伸ばしていった。

 最近の吉村の仕事で特筆すべきは、Amazon Prime Videoのオリジナルバラエティ『今田×東野のカリギュラ』の「人間火の鳥コンテスト2018」である。この企画では、全身が大きな炎に包まれた状態で車の屋根に乗り、そのまま池に飛び込んでいった。何人かの芸人が挑戦していたが、吉村の飛び方が最も美しく、最も面白かった。体を張った企画に挑む度胸があり、それをやりきる運動神経もある。吉村はこの手のロケ企画でも重宝される存在なのだ。

 吉村の同期には、絵本作家としてベストセラーを連発する西野亮廣、小説家として芥川賞を受賞した又吉直樹、ニューヨークに旅立った綾部祐二、社会問題に切り込んでいる村本大輔など、ひとクセある特異な人物が多い。その中で吉村は、個性を出しすぎず、時代の流れに逆らわず、職人として仕事をこなし、結果を出している。「自称・破天荒」と揶揄されることの多い吉村だが、最も競争の激しいテレビの世界で戦い続ける真面目な生き様には嘘はない。
ラベル:ノブコブ吉村
posted by かーくん at 14:03| 芸能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする